「自分には商品化に関して何の発言権も無いから愚痴ってもしょうがないけどさ。森雪のフィギュア商品の写真を見ていると、一部はもう森雪に見えないわけ」
「昔から森雪に見えない森雪なんて当たり前じゃないか」
「そうだ。しかし、黄色い制服着て髪の色と髪型がそれっぽかったら森雪ってことで良かった。作画の乱れなんて常識で、記号性でキャラは識別できた。あとから森雪の艦内服は白くなったけどね」
「じゃあ、森雪に見えないって?」
「ヤマト2199のオリジナルカラーの森雪フィギュアがもう森雪には見えなかった」
「なんてこった」
だがしかし §
「だがしかし、昔はキャラクターの記号性すら剥奪されたキャラクター商品が常識的にあって、こんなのは当たり前だった」
「ひぃ~。恐怖の昔語りが出た」
「ヤマトのゼンマイが付いているのは当たり前。艦の上部構造物を取ると艦載機を格納できるんだぞ」
「つまりなんだい?」
「アニメと周辺のビジネスの水準は、急速に1970年代前半のレベルに落ちていっているように思う」
「つまり、ヤマトブーム以前の状況だね」
「そもそも、おいらがアニメブームというものを認識したとき、数年でこの水準に戻ると思っていた。だから見続けた。終わりを見届けたかったからだ。しかし、終わらなかった。ずるずる数十年引きずられた。そして、今戻った。長かったとしか思わない。これ以上アニメを見る理由が無い」
「だから君は映画を見るのだね」
「まあ、映画としてアニメ映画を否定しないが、それはどんなジャンルの映画も否定しないことと同じであって、特別扱いしているわけではない」
「他のジャンルも否定しないの?」
「そうさ。本当に面白い映画は、ジャンルを超えてやってくる」